インプラントができないケース
「持病や生活習慣によって治療を断念した」「他の治療をまず優先しておこなう必要がある」など。インプラント治療ができない理由はさまざま。しかし、近年の治療技術の向上によりそういったケースも減っている状況にあります。
本当は施術可能だったのにあきらめてしまった…なんていうことのないように、しっかりとインプラントの特性を知り、自分は治療可能なのかどうか知ることが重要です。
インプラントの施術ができないケースとは?
インプラントの特性上、次のような場合には施術ができない可能性があります。
- 骨が極端に少ない方
- 重度の歯周病で未治療の方
- ヘビースモーカー
インプラントはあごの骨に、歯の根に代わる金属を埋め込み、その土台の上に人工歯を取り付ける治療となります。
そのため、骨が極端に少ない・歯周病・その原因となる喫煙者の方は、土台を支える力が弱くなっている可能性があり、インプラント治療に支障をきたします。 - 定期的な検診やメンテナンスが不可能な方
インプラントは虫歯にはなりませんが歯周病になるリスクがあるため、定期的な検診やメンテナンスは欠かせません。 - 若年者
患者が15歳未満の方の場合は顎の骨が成長途上にあるため、骨の成長が終了するまでおこなえない場合があります。 - 全身的な重度の病気がある方
心臓病、糖尿病、骨粗しょう症など、これらの病気はさまざまな影響からインプラント治療を不可能にします。
インプラントのさまたげとなる全身的な重度の病気とは
- 心臓病
インプラントは外科的な手術の中でも小手術の部類に該当しますが、それでも心臓への負担は避けられません。
日常生活程度でも息切れしてしまう・ペースメーカーを入れている・心筋梗塞、狭心症の既往歴がある、これらの方は内科医の診断のもと手術の可否を検討しましょう。 - 糖尿病
糖尿病による血流の悪化のため、骨とインプラントがくっつきにくく歯周病にもなりやすいなどの弊害があります。
医院によっては血糖値やヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)という糖尿病の程度を知る指標値を参考に、施術可能かどうか判断してくれます。 - 骨粗しょう症
あごの骨に埋め込むインプラントは、骨密度が低く骨がもろくなっている状態ではあきらめざるをえません。
骨密度にも症状によってさまざまあり、骨粗しょう症の薬であるビスフォスフォネート製剤を服用している方でも手術可能の場合もあるため、医師への相談は不可欠となります。
これらは成功率が極端にさがるため、重度の持病を持っている時点で施術を断るクリニックが多く存在するのは事実です。
持病を理由に断られれば仕方がないとあきらめてしまう方も多いようです。
あきらめるにはまだ早い?
施術のできない原因にあてはまったり、実際に診察をして断られた場合でも、インプラント治療をあきらめるにはまだ早いです。
いずれも、他のクリニックで受診することや自己改善により施術可能になるケースも多く見られます。あきらめる前にもう一度、別のクリニックや医師に相談し、自分で改善できる点を見つめなおしましょう。
若年者や骨粗しょう症、歯周病の方でもオールオンフォー・上顎洞挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)などの骨を増やす処置法がある、持病に対して麻酔科医・内科医との連携をとっている、極端に重病化していなければ施術可能など、クリニックや医師によって対処できる幅も大きく変わってきます。自分に合った医院選びはもっとも重要です。
自分で改善できる点として、ヘビースモーカーの方は禁煙をしましょう。禁煙の効果は非常に迅速で、歯肉の血流は数日~数週間で回復するといわれています。
定期的な検診も忙しい中で時間をつくるのはむずかしいかもしれませんが、せっかく始める治療ですから時間を惜しまなければ可能なはずです。
インプラント治療ができない原因のほとんどは、生活習慣・持病など自分の問題であり、それらは改善することができます。
自分の体や生活を見つめなおすことによって、インプラントも可能にし、体も歯も健康にしましょう。